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小規模企業共済の契約者貸付で借りる:手続きと、窓口に行く前の準備

積み立てた掛金の範囲内から年1.5%で借りられる契約者貸付。限度額の決まり方、105万円で変わる返済方法、当日の持ち物、電話で確認すべきことまで、窓口に行く前に固めておく内容を整理した。

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小規模企業共済の契約者貸付で借りる:手続きと、窓口に行く前の準備

小規模企業共済に入っていると、積み立てた掛金の範囲内で借入ができる。契約者貸付制度という。

審査がない。担保も保証人も要らない。窓口に行けば当日中に振り込まれることもある。 そのわりに、制度の説明を読んでも「で、何を持って、どこに行けばいいのか」がなかなか見えてこない。

この記事は、窓口に行く前に決めておくこと・調べておくことの整理。


制度の概要

貸付は7種類ある。事由の証明が要らないのは一般貸付だけで、あとは特別貸付。

種類利率金額
一般貸付け(事業資金等)1.5%10万〜2,000万円
緊急経営安定貸付け年 0.9%50万〜1,000万円
傷病災害時貸付け年 0.9%50万〜1,000万円
福祉対応貸付け年 0.9%50万〜1,000万円
創業転業時・新規事業展開等貸付け年 0.9%50万〜1,000万円
事業承継貸付け年 0.9%50万〜1,000万円
廃業準備貸付け年 0.9%50万〜1,000万円

金額はいずれも5万円単位。特別貸付は売上減少や災害・傷病といった事由の証明が要る。単に資金が必要というだけなら一般貸付になる。

なお一般貸付の使途は事業資金等であって、完全に自由なわけではない。


いくら借りられるか

限度額は掛金納付額の7〜9割。納付月数が長いほど割合が上がる。

  • 貸付資格は、資格判定日(毎年4月末・10月末)までに掛金納付月数が 12か月以上あること
  • 限度額は中小機構から届く「貸付限度額のお知らせ」ハガキに書いてある
  • ハガキが見当たらないときは、共済相談室に契約者番号を伝えれば確認できる

掛金を増額すれば枠も増えるが、反映されるのは次の判定以降になる。今すぐ必要な資金には間に合わない。


105万円が分かれ目になる

ここが制度でいちばん見落とされやすい。借入額によって返済方法が変わる

借入額選べる返済期間返済方法
100万円以下6か月・12か月期限一括償還のみ
105万円以上+24か月6か月ごとの元金均等割賦
305万円以上+36か月同上
505万円以上+60か月同上

つまり100万円以下で借りると、分割返済は選べない。6か月後または12か月後に全額を一度に返すことになる。

毎月コツコツ返していく形をイメージしていると、ここで前提が崩れる。

利息の払い方も方式で違う。

  • 期限一括償還:借入時に全額を前払い
  • 割賦償還:借入時と各返済時に6か月分ずつ前払い

95万円を12か月で借りる場合の試算

限度額が95万円だったとして、実際に動く金額を出してみる。

項目金額
借入額950,000円
前払い利息(年1.5%×12か月)△14,250円
収入印紙(50万円超100万円以下)△1,000円
実質手取り約934,750円
返済期日に必要な額950,000円

6か月にすると利息は7,125円。12か月との差は7,125円しかないので、期間を長く取るコストは小さい。

利息は借入額から差し引かれるので、当日に現金で用意する必要はない。現金が要るのは印紙代くらいだ。

印紙は借入額で変わる。50万円以下なら400円、50万円超100万円以下で1,000円、100万円超500万円以下で2,000円。


実際の返済方法は2通り

商工中金で借りた場合、返済方法は大きく2通りある。

  1. 借りた商工中金の窓口に現金を持参する
  2. 指定口座へ振り込む

窓口で返す場合は、「貸付金計算書」「回収金計算書」「返済期日到来のご案内」など、共済契約者番号と氏名が分かる書類を持っていく。

振込返済は金融機関によって取扱いが異なるため、まず借りた支店に電話して、振込先とその日の返済額を確認する。振込手数料は自己負担。振込日ではなく、商工中金が入金を確認した日が返済日になるので、当日扱いにしたいなら指定された時間まで、できれば午前中に振り込む。

なぜ振込額が日によって変わるのか

変わるのは元金ではなく、返済日に応じて精算される利息。

  • 返済期日前:借入時に前払いした利息のうち、まだ経過していない期間分が「戻し利息」として差し引かれる。早く返すほど戻る利息が増え、必要な返済額は少し下がる
  • 返済期日後:延滞日数に応じた年14.6%の延滞利子が加算され、必要な返済額が日ごとに増える

返済期日どおりに返す場合の返済額は、基本的に借入元金と同額。金額に差が出るのは、主に期日前の返済か、期日を過ぎた返済の場合になる。

戻し利息・延滞利子は、商工中金が実際に入金を確認した日を基準に計算される。だから、電話でその日の金額を聞いたら、原則としてその日のうちに振込まで終える必要がある。翌日の入金扱いになると金額がずれる可能性があるため、自己判断で元金だけを振り込まない。

参考:中小機構「共済契約者貸付制度を利用した借入金の返済手続き」


返せなかったときのコスト

年1.5%の裏側にこれがある。

  • 返済期日を過ぎると、延滞日数に応じて 年14.6% の延滞利子。95万円なら1日あたり約380円
  • 約定償還日から1年経過すると、借入金相当額が納付済み掛金から取り崩される

問題は後者だ。掛金が取り崩されると、将来受け取る共済金・解約手当金が減る。納付月数も減る。 つまり延滞は、利息が増えるだけでなく共済そのものの価値を削る

判断の分かれ目は結局ここに尽きる。返済期日までに返せるか。返せるなら年1.5%は極めて有利な調達で、迷う余地は小さい。


手続き:どこに行くか

窓口は登録の有無で変わる。

  • 借入窓口を登録している → その代理店(金融機関)
  • 登録していない商工組合中央金庫(商工中金)の本店または支店
  • 特別貸付 → 商工中金のみ

商工中金なら、どの支店でも構わない。口座を持っていなくても手続きできる。 ただし全国で約100店と少ないので、移動コストはかかる。一度で終わらせるのが重要になる。

自分が窓口を登録しているかどうかは自分では調べようがないので、そこは中小機構に聞くのが早い。

商工中金とは

商工中金(正式名称:株式会社商工組合中央金庫)は、中小企業の資金調達を支える金融機関。一般の銀行と同じように預金や融資を扱うが、特に中小企業向けの金融を中心としている。

小規模企業共済では、制度を運営するのは中小企業基盤整備機構(中小機構)で、商工中金は契約者貸付の受付・資金交付・返済を行う窓口になる。ここで受けるのは商工中金独自の通常融資ではなく、積み立てた共済掛金をもとにした小規模企業共済の契約者貸付。そのため、商工中金に口座がなくても手続きできる。

東京都内の窓口(一例)

支店所在地電話
東京支店港区芝大門2-12-1803-3437-1231
渋谷支店/新宿支店(副都心営業部内)新宿区西新宿6-11-3 Dタワー西新宿3F03-3340-1551
本店営業部中央区八重洲2-10-1703-3272-6111

ここで注意がひとつある。渋谷支店は渋谷にない。新宿支店と統合されて西新宿のDタワー西新宿にあり、電話番号も同じだ。名前につられて渋谷に行くと空振りする。

副都心営業部は12:00〜13:00が窓口休業(9:00〜12:00/13:00〜15:00)。当日振込を狙うなら、実質13:00〜14:00が勝負になる。支店ごとに営業時間が違うので、電話のときに一緒に聞いておく。

中小機構 共済相談室:050-5541-7171(平日9:00〜17:00/9時台と16時台が比較的つながりやすい)

問い合わせるときは共済契約者番号を用意しておく。


電話で確認すること

中小機構 共済相談室

確認項目聞き方
借入窓口の登録「貸付の借入窓口は登録されていますか。どこですか」
貸付限度額「現在の一般貸付の限度額はいくらですか」
既存借入「借入残高は残っていますか」

行く支店

支店ごとに運用が違うので、こちらは必ず直接かける。

確認項目聞き方
取扱の可否「小規模企業共済の契約者貸付の手続きはできますか。口座は持っていません」
予約の要否「予約は必要ですか。◯日◯時に伺えますか」
振込の時期「手続きから何営業日で振り込まれますか」/急ぐなら「当日中に振込を受けるには何時までですか」(14時が目安)
持ち物「当日の持ち物を全部教えてください」
収入印紙「印紙は窓口で購入できますか」

当日の持ち物

  • 実印(印鑑登録証明書と同一のもの。認印は不可)
  • 印鑑登録証明書(発行3か月以内
  • 収入印紙(借入額に応じた額。窓口で買えるなら現金でも可)
  • 貸付限度額のお知らせ(直近の年度のもの)
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など。通知カードは本人確認書類にならない
  • 共済契約者番号がわかるもの(加入者証、掛金払込証明書)
  • 振込先口座がわかるもの(通帳・キャッシュカード)
  • 現金少々、メモとペン

出直しになる理由で多いのは「印鑑証明が期限切れ」と「実印が印鑑証明と違う」の2つ。 家を出る前に、証明書の発行日と印影を現物で確認しておく。


段取り

順番を間違えると出直しになるので、これで固定する。

  1. 中小機構に電話 → 窓口の登録先と限度額を確定させる
  2. 役所 → 印鑑登録証明書を取得(未登録なら印鑑登録から)
  3. 支店に電話 → 予約、振込までの日数、持ち物を確認
  4. 窓口へ → 借入申込書兼借用証書に記入・押印

1が終わらないと3の電話先が決まらない。ハガキがあって窓口も把握しているなら、1は飛ばして3から始められる。


実際に借りてみた感想

手続きが終わると、借入金はその場で現金で渡された。まとまった現金を持って移動することになるので、帰り道には気をつけたほうがいい。

利用する口座によっては、1日あたりの入金上限がある。受け取った全額をすぐ口座に入れられず、手元に大量の現金が残る可能性もあるため、事前に入金上限を確認しておくと安心だ。

100万円近い札束を見るのは初めてだった。もっと分厚いものを想像していたが、実物は意外とそうでもない。金額の重さと見た目のギャップが妙に印象に残った。


まとめ

  • 一般貸付は年1.5%、掛金納付額の7〜9割、10万〜2,000万円。資格は納付月数12か月以上
  • 100万円以下は期限一括償還のみ。分割で返す前提なら計算が崩れる
  • 利息は借入時に前払い。当日必要な現金は印紙代くらい
  • 返済は商工中金への現金持参か振込。振込は事前に支店へ電話し、入金確認日を合わせる
  • 延滞は年14.6%、1年で掛金が取り崩されて共済の価値が削れる
  • 窓口は商工中金ならどの支店でも可。印鑑証明の期限と実印の一致だけは出発前に現物確認

判断の軸は最後まで1つだけだ。返済期日までに返せるかどうか。 それが読めているなら、年1.5%で審査なしという条件は他ではまず出てこない。

具体的な金額と時期の判断は、顧問税理士か商工会の経営指導員に見てもらうのが確実。

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RK

1997年生まれ

ITエンジニア

インフラ・SRE